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QSCってなに?飲食店経営者必見!今さら聞けない経営の基礎知識と取り組み事例を徹底調査
2025.05.21
安定した飲食店経営に欠かせない指標の一つが「QSC」。
常に顧客が訪れる人気店では、従業員全員がQSCを意識し、商品提供や接客に励んでいます。ここでは、飲食店経営者に向けて、QSCの意味や重要性について説明。 近年注目されている新しい考え方や、QSCを向上させる方法、有名企業の取り組み事例も紹介!
ぜひ参考にしてください。
店舗経営に欠かせないQSCとは?
QSCとは、「Quality(クオリティ) - 品質」、「Service(サービス) - 接客の質」、「Cleanliness(クレンリネス) - 清潔さ」の頭文字から作られた言葉です。飲食店経営を行う上での基本であり、非常に重要な指標とされています。
この3つの要素のうち、どれか1つでも欠けていたり、1つの要素に偏っていたりすると、品質の高い飲食店として維持することは難しいでしょう。顧客満足度や売上減少に繋がる可能性があります。そのため、飲食店経営者は常にQSCを意識して事業を行う必要があります。
Quality(クオリティ) - 品質
Quality(クオリティ)とは、食材の鮮度や料理の味、見た目など、飲食店で提供するサービスの品質です。提供するものの中には、実際の商品だけでなく店舗の内装など体験価値も含まれます。 また、提供するサービスの品質に見合う、適切な価格設定も非常に重要です。単に、安い・高いだけで評価されるわけではない点に注意しましょう。
Service(サービス) - 接客の質
Service(サービス)とは、接客の品質を指します。飲食店では、予約時や入店案内、料理の注文や提供、見送りなど、従業員とお客様が接する機会が多く存在します。 あらゆる場面において、いかに顧客に対して適切な対応ができるかが接客の品質を左右します。言葉遣いや接客態度だけでなく、立ち振る舞いや身だしなみなど、お客様の目に触れるすべての行動がサービスの一部です。
Cleanliness(クレンリネス)- 清潔さ
Cleanliness(クレンリネス)とは、店舗や従業員の清潔さを示す言葉です。店舗の外観や店内全体が清潔に保たれているか、従業員の服装や身だしなみに清潔感があるか、などが含まれます。 クレンリネスの範囲は、お客様から見える部分だけではありません。厨房機器やバックヤードなども衛生的に保ち、食中毒の防止を行うことも重要です。口にする食事を提供するのが飲食店の役割であるため、顧客視点で衛生管理に努めましょう。
飲食店経営にQSCはなぜ重要?
飲食店経営において、QSCはリピーターの獲得に大きく影響します。安定した収益を確保するためには、継続的に来店してくれるリピーターを増やすことが重要です。 そのためには、顧客満足度を高めることが欠かせません。顧客満足度は、料理の品質、サービスの質、店内の清潔さ、従業員の身だしなみなど、様々な要因によって左右されます。 スタッフ全員がQSCの重要性を認識し、日々改善に努めることで、安定した利益につながる経営を実現できるでしょう。
QSCを向上させるには
顧客アンケートの実施と分析
お客様からのアンケートを実施することで、現状の改善点や実際の意見・要望を把握することができます。アンケートの作成から実施までの手順は、以下の通りです。
アンケート実施の流れ
1.作成する | <項目・質問例> ・来店しようとしたきっかけは何ですか。 ・料理の味と価格のバランスは適正と感じましたか。 ・従業員の対応や声かけのタイミングはいかがでしたか。 ・店内は清潔に保たれていましたか。 ・店内の雰囲気は居心地がよいと感じましたか。 ・また来店したいと思えるか。その理由は。 |
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2.設置する | 紙の場合:各テーブルに設置する Web形式の場合:QRコードをメニュー表等に設置する |
3.回収/分析 | 回答で得た情報を洗い出し、自店の強み・よい点と弱み・改善点に分ける。 強みをさらに伸ばす方法、弱みを改善する方法を考える。 |
アンケートを作成する際は、具体的な改善策に結びつくような質問項目を設定しましょう。 また、お客様が気軽に答えられるように自由記述形式だけではなく選択式のチェックリストも用いることをお勧めします。 お店のターゲット層に合わせて、紙・WEBなどの回答形式も適応させることが重要です。 さらに、集計したアンケート結果を分析することで価格設定の妥当性や接客に問題がなかったかなどを確認できます。 自店の強みと課題が明確になり、従業員の意識向上にもつながるでしょう。
業務マニュアル作成
業務手順や接客マナーなどをマニュアル化することは、従業員のサービス品質を均一にする上で非常に有効です。 マニュアルを作成することで、人材の入れ替わりが頻繁な飲食業界において、新入社員教育の手間を減らすことも期待できます。 さらに、既に作成したマニュアルがある場合も、お客様のアンケート結果などで明らかになった改善点などを反映させることで、より実践的なものへと進化させることができます。 複数の店舗を展開している飲食店の場合、マニュアルを共有することで、各店舗のサービスレベルを統一することも可能です。
チェックリストの導入
従業員の接客品質向上は、QSCの改善に不可欠です。日々の業務に追われる中で、経験の浅い従業員は見落としやミスを犯しやすいものです。 小さなミスを防ぐために、やるべきことをリストアップしたチェックシートを作成しましょう。 以下に、QSCそれぞれのチェックシート項目の例を示しますので、参考にしてください。
チェックシートの項目例
Quality 品質 |
・規定の手順で調理が行われているか ・食材の鮮度・消費期限を厳守できているか ・食材の温度管理は適正に行われているか ・肉、魚、野菜を調理するまな板や包丁は使い分けているか |
---|---|
Service 接客の質 |
・電話は1コール以内で出られているか ・来店時に笑顔で挨拶ができているか ・空いたお皿がテーブルに置かれていないか ・空のグラスがあれば、飲み物のおかわりを伺えているか |
Cleanliness 清潔さ |
・メニュー表がきれいな状態に保たれているか ・トイレや手洗い場に水滴が落ちていないか ・厨房はきれいに清掃がされているか ・店舗の前にゴミが落ちていないか |
従業員満足度(ES)を上げる仕組みづくり
従業員が気持ちよく働ける環境を作ることは、お店全体の雰囲気を良くするために非常に大切です。 従業員のやる気を引き出すためには、社会保険や休暇制度、福利厚生といった会社としての制度を整えることが不可欠です。 それに加えて、従業員同士の良好な関係や、働きやすい職場環境を作ることもモチベーションを高める上で大きな影響を与えます。 最近では、上司と部下がマンツーマンで話す機会を設け、一人ひとりの意見や考えを丁寧に聞く取り組みをする企業が増えています。 ご自身のお店に合った方法を検討してみてはいかがでしょうか。
QSCだけでなく新しい考え方も
近年では、QSCだけでなく新しい考え方も重視されています。合わせて覚えておきたい新しい考え方「QSC+H、+V、+A」の3点について詳しく見ていきましょう。
QSC+H(Hospitality) - ホスピタリティ
「QSC+H」は、QSC にH「Hospitality(ホスピタリティ)=おもてなしの心」を加えた考え方。 ただ美味しい料理を提供するだけに留まらず、顧客一人ひとりのニーズやシチュエーションを理解し、心からのもてなしを提供することを指します。 QSCが飲食店経営の最低限の要素だとすれば、Hはさらに一歩踏み込んだ、顧客体験価値の向上を目指すもの。 マニュアル通りの接客をするのではなく、顧客に感動を与え、いかに心地よい時間を過ごしてもらうかで顧客のロイヤリティを高めることができます。
QSC+V (Value) - 価値
「QSC+V」は、QSC にV「Value(バリュー)=価値」を加えたもの。QSCのすべてを高いレベルで提供することで、顧客により高い価値を与えられるという考え方です。 料理の品質、量、価格のバランスだけでなく、サービスの質、店舗の雰囲気、利便性なども含め、総合的な面で顧客が期待・予想している以上のものを提供する必要があります。 どれかひとつの要素が欠けたりレベルが低かったりすると、+Vの実現は難しいと言えます。そのため、飲食店経営者だけでなく、従業員が一丸となって取り組む必要があります。
QSC+A(Atmosphere) - 雰囲気
「QSC+A」は、QSC にA「Atmosphere(アトモスフィア)=雰囲気」を加えた考え方。 店舗の内装、外装、照明、音楽、香り、席の配置など、店舗全体が醸し出す雰囲気や心地よさを指します。こうした飲食店の雰囲気はお店を作るうえで重要な要素ですが、万人が好む雰囲気を作り出すのは非常に難しいといえます。 そのため、飲食店のコンセプトを細かく明確に決め、ターゲットをしっかり設定することが重要です。絞ったターゲット層に響く雰囲気作りを考えてみましょう。
事例:企業のQSCへの取り組み
ファミリーマートやマクドナルドなどの大手企業では、QSC向上の取り組みを実施しています。各種企業の事例を、今後の取り組みの参考にしてください。
ファミリーマート
ファミリーマートはQSC向上に力を入れており、独自のチェックシートを作成し、人事評価制度に組み込むことで従業員一人ひとりの意識を高めています。 さらに、社内ではQSCに関するコンテストを開催し、優れた取り組みを表彰する制度も設けています。
マクドナルド
マクドナルドは、「QSC」という概念を初めて提唱した飲食店として広く知られています。現在では、 「QSC&V」という確固たる原則を基盤に、従業員一人ひとりが日々の業務に取り組んでいます。ビーフパティの分量や重量をマニュアル化し、 品質管理のために作業手順を徹底することで、全店舗で均一な品質の商品を提供するための工夫が凝らされています。
すかいらーく
すかいらーくでは、QSCの質を高めて顧客体験価値を向上させ、収益増加を目指す取り組みを行っています。2022年度には、グループ内の各業態から「モデル店舗」を選抜し、収益改善プロジェクトを実行しました。 そして2023年度には、このプロジェクトで成功した施策をマニュアル化し、全店舗に展開する計画を立てています。 この改善プロジェクトによって、対象店舗では営業利益が11%向上するという成果が出ています。また、社長自身が店舗を訪問し、直接従業員の声を聞くという取り組みも行われています。
町田商店(ラーメン)
町田商店は、500店舗を超えるラーメンチェーンを展開しています。店舗ごとのQSCの差をなくすため、システムを活用したQSCの向上に注力しています。 また、従業員のモチベーションアップのために、インセンティブ制度や、習得した業務スキルに応じたポジション制度などを導入しています。 このような適正な評価制度があるからこそ、従業員は意欲的に業務に取り組むことができるのです。
居抜きでの店舗、事務所の移転・撤退をご支援
もしQSCの取り組みがうまくいかず、飲食店の閉店や店舗の売却を検討される際には、居抜き店舗.comの姉妹サイト「店舗買取り.com」にご相談ください。
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<お問い合わせ先>
フリーダイヤル|0120-3737-18
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