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飲食店の予約に関する動向サマリー

2023.02.20

飲食店向け予約管理システム「ebica」は、飲食店の予約に関する最新のレポート「飲食店予約レポート2023」を発表した。
飲食店予約レポートは、「ebica」および「グルメサイトコントローラー」のデータを基に、2019年から2022年までのコロナ禍を含む3年間で変化した、飲食業界の集客や予約に関する消費者の動向を公開した。以下リリースから抜粋。
 

飲食店の予約手段では、2019年~2022年までの3年間でネット予約が電話予約とほぼ同比率まで増加



 

1. 飲食店の予約手段では、3年間でネット予約(48.9%)が電話予約(51.1%)とほぼ同比率まで増加し、ネット予約が普及
全国の飲食店の予約データを基に、ネット予約と電話予約の比率の推移を見ると、2022年12月ではネット予約が48.9%、電話予約が51.1%となりました。コロナ禍以前の2019年と比較すると、2019年1月はネット予約が38.1%、電話予約が61.9%と、10.8ポイントもの差があることがわかります。
 直近3年間のネット予約普及には、いくつかの要因が考えられます。コロナ禍を受け、小規模飲み会の増加に比例して直前予約の比率が拡大したことや、飲食店に行く前に営業時間や感染対策、空席の有無などを確認し、店の前で待つことのないように予約する消費者が増加したこと。そして、2020年10月よりGoToEatキャンペーンが大々的に行われたことと併せて、これまでウォークインが中心だったファミレスやカフェなどの幅広い業態で予約を受け付けるようになったことも、大きな契機となりました。
 今後は入国制限緩和を受けた一層の訪日観光客(インバウンド)の増加や、飲食店の会員アプリなどによるCRM施策(再来店促進施策)への取り組み強化等、さらなるネット予約化の波が来ることが予想されます。

 

 


2. ネット予約経路では、グルメサイトに比べ、店舗公式サイトなど従量課金がかからないメディアを経由した「ダイレクト予約」の比率が2倍以上に増加
 近年増加傾向にあるネット予約において、その予約経路をある飲食店の忘年会シーズンで見ると、2019年12月は、店舗公式サイトなどオウンドメディアを含む、従量課金がかからないメディアを経由した「ダイレクト予約(Direct Reservation=DR比率)」の割合が全体の14.3%であるのに対し、2022年12月は全体の33.3%と、2倍以上に増加していることがわかります。
 Googleのような検索プラットフォームや、Instagram、LINEといったSNSが飲食店検索・予約サービスを本格的に強化しているなか、消費者の検索導線も変わりつつあります。そのなかでも、とりわけ従量課金がかからないメディアを経由した「ダイレクト予約(DR比率)」の割合を高めることが、WEBマーケティングの強化や再来店率の向上につながります。また、その一方で、引き続き重要な導線となっているグルメサイトを並行して活用していくことも必須となります。

 


3. 2022年の忘年会シーズンは、総予約数でコロナ禍以前を上回る結果に。一方で、ピークタイムの18時〜21時は2019年に満たない状況と客単価に影響も
全国の飲食店の予約数を忘年会シーズンの12月で比較すると、総予約数では2022年12月がコロナ禍以前の2019年12月に対して106.4%と上回り、飲食店の需要が回復傾向にあることがわかります。一方で、時間帯別の内訳を見ると、ランチタイム(11時〜14時)、カフェタイム(14時〜16時)、アーリータイム(16時〜18時)の時間では2022年12月が上回っているものの、飲食店のピークタイムである18時〜21時は、2019年12月に対して91.4%と依然として下回っています。ディナーの時間帯が減少していることで、客単価の低下につながり、売上という点では現在もコロナ禍の影響がうかがえます。

 


4. 2022年はコロナ禍以前に比べ、全ての時間帯で1組あたりの人数が平均約1人分減少しているなど、少人数の外食が増加
 全国の飲食店における、時間帯別の予約1組あたりの人数を忘年会シーズンの12月で比較すると、コロナ禍以前となる2019年12月に比べ、2022年12月は16時〜18時(アーリータイム)、18時〜21時(ピークタイム)、21時以降、全時間帯の全てで1組あたりの人数が平均約1人分減少しており、少人数での外食が増加していることがわかります。こうした数字から、コロナ禍を経て大規模宴会が消失傾向にあると言えるかもしれません。
 そうした背景を受け、現在、コロナ禍以前の売上を取り戻していくべく、市場全体が、より多くの組数を入れるために回転重視の集客を重視する傾向にシフトしていることがうかがえます。

 

【総括】
 外食産業は、コロナ禍によって最も大きな打撃を受けた産業の一つです。2023年5月より2類から5類へと分類されることで、飲食店の需要はコロナ禍以前に近いものに変わっていくことが期待される一方、飲食店は、深刻な人手不足に加え、食材原価やエネルギーコストの高騰などを受け、まさに今、変化を求められています。この度は、大手居酒屋チェーンからホテルレストランまで、国内15,000店舗の飲食店が導入するクラウド型予約管理システム「ebica」のデータを通して、コロナ禍を含む3年間の飲食店の予約に関する動向が見えてきました。
 2022年12月は、全国の飲食店の予約数が2019年12月に対して106.4%となるなど、コロナ禍以前の水準を超え、3年ぶりに忘年会シーズンの賑わいを取り戻しました。一方で、1組あたりの人数が2019年12月に比べ、全ての時間帯で平均約1人分減少し、少人数での外食が増加していることがわかりました。
 そうした背景を受け、コロナ禍以前の売上を取り戻していくべく、市場全体が、より多くの組数を入れるために回転重視の集客を重視する傾向にシフトしています。そのために、消費者の外食利用の形が大きく変化したことに加え、食材、水道光熱費、人件費などコストが高騰している厳しい環境のなかでも、WEBマーケティングへの取り組みを進める飲食店が増加しています。飲食店の予約手段では、3年間で、長らく一般的であった電話予約とほぼ同比率までネット予約の普及が進み、ネット予約の中でも、店舗公式サイトなどの従量課金がかからないメディアを経由した「ダイレクト予約(DR比率)」が2倍以上に拡大しました。
 今後も、入国制限緩和を受けた一層の訪日観光客(インバウンド)の増加や、コロナ禍で重要度が増した再来店を目的としたCRM施策など、ネット予約体制の強化が広がっていくことが予想されます。
 小規模な事業者が多く、WEBマーケティングへの取り組みが進みづらかった飲食業界が、さらにITツールやAIの活用を進め、さまざまな施策に取り組むことで、ポストコロナ時代の新しい外食の形が定着していくことが期待されます。

プレスリリース詳細



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