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東京で増える外国人 どこから来てどこで暮らすか ~外国人人口の動態を徹底分析~
2024.10.28
投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメントによると、東京23区内における外国人の人口は、2017年とくらべ、2024年時点で区全体では132,214人増となる、54万2,864人となり、区全体では4.4%(2017年)から5.6%(2024年)と急ピッチで上昇している。以下プレスリリースより一部抜粋。
【02】東京都における外国人の国籍・地域別内訳の推移
増加を続ける中国と微減の韓国で約半数 ベトナム、フィリピン、ネパールが続く
ミャンマー、インドネシアは約150%の増加率で急伸中
直近7年間で動く国籍・地域別ランキング
次に、東京都にどのような国籍・地域の外国人が住んでいるのかをみていきます。
2024年時点の外国人人口の国籍・地域別内訳(上位10か国・地域)【図表2】をみると、中国25万7,198人(外国人人口の39.7%)、韓国8万7,955人(同13.6%)の2カ国でほぼ半数を占めています。次にベトナム4万4,087人(同6.8%)、フィリピン3万5,634人(同5.5%)、ネパール3万5,310人(同5.5%)、台湾2万1,771人(同3.4%)と続いています。
2017年から2024年にかけての上位10か国の推移【図表3】をみると※2)、2017年時点ではフィリピンが3位でしたが、2018年にベトナムがフィリピンを上回り、引き続き3位に位置しています。また、2024年にはミャンマーがインドを上回って8位に、ランク外だったインドネシアがタイを上回って10位に躍り上がっています。この7年間の国籍・地域別の増加数(増加率)では、中国が7万人余り(増加率38.4%)増加した一方、韓国はほぼ横ばい(800人の減少)の状況にあります。ベトナム(1.6万人、58.8%増)、ネパール(1.3万人、55.8%増)、インド(0.7万人、69.4%増)の3カ国が約60~70%の増加率をみせ、その他ではミャンマー(1.2万人、140.9%増)とインドネシア(0.6万人、163.2%増)の2カ国が140~160%程度の増加率で急増しているのが目を引きます。
※2)東京都「外国人人口」統計の国籍・地域別内訳に関しては、2016年10月まで「中国」の数値に「台湾」が含まれているため、2017年1月以降のデータで集計・分析している。
【03】東京23区内における外国人の居住動向と注目エリア
都心エリアの人口増加 中国・韓国国籍の富裕層が牽引か
南・東南アジア地域は城北・城東エリアでの伸びが顕著に
外国人割合の推移
続いて、東京23区内の外国人の状況を各区別にみていきます。
東京23区内の外国人人口【図表4】は、2024年時点で区全体では54万2,864人を数えます。各区別の人口では、新宿区4.4万人、江戸川区4.3万人、足立区3.9万人、江東区3.7万人、豊島区3.3万人、板橋区3.2万人、大田区2.8万人、北区2.7万人の順に多くなっています。
外国人割合をみると、区全体では4.4%(2017年)から5.6%(2024年)と急ピッチで上昇しています。2024年時点の各区別の外国人割合は、新宿区12.6%を筆頭に、豊島区11.2%、荒川区9.7%、台東区8.7%、港区8.0%がとくに高く、北区7.6%、江東区6.9%、中野区6.3%、江戸川区6.2%、文京区6.0%が続いています。
この7年間の外国人割合の増加ポイントでみると、北区(2.0ポイント)がもっとも高く、次いで江戸川区・文京区(どちらも1.8ポイント)、中央区・江東区・豊島区(いずれも1.7ポイント)、足立区・葛飾区・板橋区(いずれも1.6ポイント)などが続き、文京区や中央区といった都心エリアのほか、城北・城東エリアでの増加が目立っています。
外国人人口の増加率
2017年から24年までの外国人人口の動向【図表5】を細かくみると、区全体では2017年から20年までに7.5万人増加し、22年にかけて5.6万人減少するものの、24年までの2年間でふたたび11.2万人増え、この7年間の増加数は13.2万人(32.2%増)となっています。
一方、この7年間の各区別の増加率では、中央区(67.9%増)、文京区(53.0%増)、千代田区(44.8%増)と都心エリアが高い伸びを見せ、次に足立区(43.5%増)、葛飾区(43.0%増)、板橋区(42.7%増)、江東区(41.9%増)などが続いています。増加率でみると、これまで外国人がそれほど多くなかった中央区、文京区、千代田区において急速に増加していることがみてとれます。
国籍別にみた外国人の動向
それでは、この7年間の各区別の増加の状況を、国籍別にみていきましょう。ここでは、とくに人口の多い中国と韓国、近年の増加率が高いベトナム、ネパール、ミャンマー、インドを取り上げます。
<都心部に急増する中国人>
中国国籍の人は、新宿区、豊島区のほか、江東区、江戸川区、板橋区などの城北・城東エリアに多く住んでいますが、この7年間の推移でみると文京区(109.6%増)、中央区(105.2%増)、千代田区(91.3%増)のほか渋谷区(85.6%増)など、都心エリアや渋谷区での増加率がかなり目立っています。これは、晴海など臨海部のタワーマンションがある中央区や、東京大学や国立の小中学校があり教育環境が充実している文京区など、都心部の住環境や教育環境を求める富裕層の動向が影響していると言われています【図表6】。
新宿区で人口を大きく減らす韓国人
韓国国籍の人は、多くの韓国料理屋や雑貨店があり、韓流カルチャー発信地の新大久保で知られる新宿区を筆頭に、足立区、荒川区、江戸川区などに多数住んでいましたが、コロナ禍で大きく人口を減らし、2024年時点でも多くの区でコロナ禍前の人口に至っていません。ここ7年間の推移でみると、むしろ中央区(28.1%増)、渋谷区(20.2%増)で増加率が高くなっており、中国人と同様に富裕層が都心部に住む傾向が強くなっているとみられます【図表7】。
江戸川・足立区などで増えるベトナム人
ベトナム国籍の人は、全国各地で技能実習生や特定技能者として製造業、建設業、農業・漁業などで働いていますが、首都圏では留学生が多いようです。かつては日本語学校がある新宿区、豊島区に多く住んでいましたが、2024年時点では、家賃も比較的安価で交通の便の良い江戸川区(総武線の小岩駅周辺)や足立区、大田区などに住み、日本語学校に通うという生活をしているとみられます。ここ7年間の推移でみると、足立区(230.5%増)の伸びがとくに目立っています【図表8】。
新宿・豊島・大田区のほか杉並・中野区で増えるネパール人
日本の本格的インドカレー屋はネパール人経営が多いことで知られますが、ネパールからの留学生数もベトナムに次いで多くなっています。ネパール国籍の人は、かつては新宿区、豊島区に多く住んでいましたが、近年は大田区でも増加しています。また2013年、杉並区荻窪に世界初のネパール人学校「エベレスト・インターナショナルスクール・ジャパン」が開校し、杉並区、中野区でも人口が増えつつあります。ここ7年間の推移でみると、留学生の増加もあって足立区(189.9%増)、板橋区(184.4%増)の伸びが顕著です【図表9】。
新宿・豊島・北区などに多く住むミャンマー人
ミャンマー国籍の人が多く来日するようになったのは、民主化要求デモ(1988年)を発端とする激しい反政府運動の混乱により母国を離れた人たちの一部が、ミャンマー人僧侶の営む寺院がある新宿区中井に集まったためと言われています(今は高田馬場がミャンマーコミュニティとして有名)。新宿区、豊島区、北区に多く住んでいますが、近年は技能実習生や特定技能者としての来日が多く、ここ7年間の推移でみると、足立区(883.9%増)、練馬区(417.3%増)、板橋区(307.5%増)の伸びがとくに目立っています【図表10】。
江戸川・江東区を中心に徐々に広がるインド人
インド国籍の人の多くは、コンピューター2000年問題で多くの企業がインドのIT技術者を呼び寄せ、都心への通勤がしやすい東西線沿線の西葛西駅周辺に多く住み始めたのが来日のきっかけと言われています。2024年時点でも江戸川区と隣接区の江東区に、23区全体の7割近い約1万700人が住んでいます。ここ7年間の増加でみても、この江戸川区(113.4%増)と江東区(109.5%増)の伸びが高いですが、葛飾区(166.7%増)、足立区(106.3%増)などでも増えつつある状況がみてとれます【図表11】。
このように東京では、外国人労働者や留学生の受け入れに伴って外国人人口が急増し、それぞれの国籍・地域のコミュニティを築きながら生活を営みつつあります。
近年の区別の推移では、中央・千代田区といった都心エリア、足立・板橋といった城北エリア、葛飾・江東区といった城東エリアの伸びが顕著でした。また国籍別では、都心では中国・韓国国籍の人、城北・城東エリアでは南・東南アジア地域の人が集積する傾向がみられました。
各エリアの状況・特徴をふまえつつ、外国人が安心して生活できるような住まいやまちづくり、各コミュニティの支援といった多国籍共生社会の形成は、今後ますます重要になっていくでしょう。
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