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飲食店オーナー必読!活用できる助成金と申請ガイド

2025.06.12

飲食店オーナー必読:活用できる助成金と申請ガイド

「経営を安定させたい」「もっとお店を良くしたい」と願う飲食店オーナーにとって、助成金は強力な味方。しかし、国や自治体から提供される多種多様な助成金を前に、どう手をつければいいか困っていませんか? 今回は、そんな疑問を解消するため、助成金の基礎知識、補助金・給付金との違い、スムーズな申請方法、そして飲食店に特化した活用制度を解説。ぜひあなたの飲食店経営に役立ててください。

そもそも助成金とは?

そもそも助成金とは?

助成金は、融資とは異なり返済の必要がない支援金です。主に厚生労働省が管轄し、労働者の雇用安定を目的として支給されます。飲食店にとっては、雇用促進や職場環境の改善といった取り組みを後押ししてくれるものです。

実は、飲食店経営に活用できる助成金の種類は非常に豊富です。お店の雇用状況や売上などに応じて上手に活用すれば、経営の安定化や回復に繋げられるでしょう。飲食店経営者として、ぜひ助成金制度への理解を深めていきましょう。

飲食店が受けられる助成金一覧はこちら

違いはなに?助成金と補助金・給付金

助成金、補助金、そして給付金。これらの言葉は混同されがちですが、実は明確な区別はありません。 ただ、一般的な傾向として、助成金と補助金は、事業者が特定の活動を行う際の支援金として使われます。それに対し、給付金は、予期せぬ事態で生じた損失を埋め合わせるための、緊急的な救済策として位置づけられます。

特に、助成金は従業員の雇用や職場環境の改善など、人に関わる支援が多いのが特徴。 一方で補助金は、国の施策に沿った新しい事業展開や設備投資など、事業活動そのものにかかる費用を後押しする意味合いが強いと理解しておくと良いでしょう。

何から始める?助成金の申請ステップ

何から始める?助成金の申請ステップ

自店の課題と目的を明確にする(人材不足、労働環境改善、DX化、etc)

どんな助成金があるのか情報収集

支給要件を満たしているか確認

必要書類の準備(支給申請書、会社の登記謄本 etc)

助成金で支援される「取り組み」の実施計画を作成
(従業員の賃上げ、研修の実施、設備導入など)

各種申請書、計画届の提出

申請した計画の実行

助成金の支給申請

審査

助成金の支給

助成金を受け取るには、それぞれの制度で定められた支給要件を満たすことが大前提。 まずは、ご自身の飲食店がその条件に合致するかをじっくり確認しましょう。 要件をクリアしたら、次のステップは申請書類の準備です。多くの場合、従業員の社会保険に関する書類や、助成金の要件を満たしていることを示す申立書などが必要になります。

助成金の肝となる実施計画書は、制度の目的に沿って作成する必要があります。書式は助成金ごとに異なるので、必ず公式サイトなどから正しいフォーマットをダウンロードして記入してください。 書類を提出したら、計画通りに活動を実行しましょう。この期間に発生した費用については、領収書などを忘れずに保管・整理しておくことが重要です。

計画の実行を終えたら、いよいよ助成金の支給申請です。所定の申請書と必要書類を揃えて提出しましょう。提出後、計画が適切に実行されたか、書類に不備はないかなどの審査が行われます。 条件を満たしていれば、指定の口座に助成金が振り込まれます。

飲食店向け助成金一覧

飲食店向け助成金一覧

さて、いよいよ飲食店が受けられる主な助成金・補助金制度についての紹介です。 紹介する内容は2025年6月時点の情報です。今後変動する可能性もあるため、最新の情報は各助成金・補助金制度の公式ホームページを確認してください。

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、経営状況の都合で事業の縮小が必要になった事業者に対して、休業手当や出向、教育訓練の費用の一部を助成する制度です。

要件 1)雇用保険の適用事業主である
2)最近3カ月間、事業活動を示す指標の月平均値が前年同期より10%以上減少している
3)最近3カ月間、雇用量を示す指標の月平均値が前年同期より下記の通り増加していない
 ・中小企業:10%超えかつ4人以上の増加がない
 ・中小企業以外:5%超えかつ6人以上の増加がない
4)下記の基準を満たす
 ・休業:所定労働日の全1日にわたり実施される場合
 ・教育訓練:休業と同様の基準、または職業に関する知識や技能等の習得・向上を目的とした訓練の場合
 ・出向:3カ月以上1年以内に出向元事業所に戻る場合
5)過去に支給を受けた場合、対象期間満了の翌日から1年を超えている
補助額 対象労働者1人1日あたり8,635円が上限
補助率 中小企業:2/3 大企業:1/2

※その他の枠や詳細については各助成金・補助金の公式サイトを参照

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を立て、販路開拓や生産性向上のための取り組みを行う際に、その費用の一部を国が補助してくれる制度。

主に従業員数が少ない中小企業や個人事業主が対象となり、通常枠のほか、卒業枠、創業枠など種類はさまざまですが、飲食店は通常枠への申請が一般的。ただ昨今の賃金引上げ機運の高まりを受け、 賃金引上げ特例枠というものもあります。

対象者 飲食業の場合:常時使用する従業員の数5人以下の事業者
要件 1:資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
2:直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
3:小規模事業者持続化補助金で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、原則本補助金の申請までに受領されたものであること ※「受領された」とは事務局から指摘のあった不備が解消した状態であることを指します。
4.:「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと
補助額 【通常枠】上限50万円
【賃金引き上げ枠】200万円 など
補助率 【通常枠】2/3
【賃金引き上げ枠】2/3(赤字事業者は3/4)など

※その他の枠や詳細については各助成金・補助金の公式サイトを参照

中小企業新事業進出促進事業(旧:事業再構築補助金)

既存の事業とは異なる新しい分野に進出したり、より付加価値の高い事業に取り組んだりする中小企業を支援するための補助金。以前の「事業再構築補助金」が2025年に刷新された、新しい大型の補助金制度です。 新型コロナウイルス感染症の影響に対応するという「事業再構築補助金」の目的から、企業の持続的な成長と競争力強化へと新たに焦点を移した制度と言えます。

対象者 企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等
要件 中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行い、

・付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
・1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
・事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等

の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
補助額 従業員数20人以下:上限2,500万円
従業員数21~50人:上限4,000万円
従業員数51~100人:上限5,500万円
従業員数101人以上:上限7,000万円
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者の場合、補助上限額を上乗せ。
補助率 1/2

※その他の枠や詳細については各助成金・補助金の公式サイトを参照

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等に向けて、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。 対象となるITツールは事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。 飲食店の場合は、セルフオーダー・モバイル決済のためのツール、待ち時間管理アプリの導入などにも活用できます。

補助額 【通常枠】5万円〜450万円以下
【インボイス枠(電子取引類型)】〜350万円以下
補助率 【通常枠】1/2 or 2/3 以内
※3か⽉以上地域別最低賃⾦+50円以内で雇⽤している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合の補助率は、2/3以内

【インボイス枠(電子取引類型)】
2/3以内(中小企業・小規模事業者等) ・ 1/2以内(大企業等)

※その他の枠や詳細については各助成金・補助金の公式サイトを参照

業務改善助成金

業務改善助成金とは、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。 中小企業や小規模事業者を対象としています。

助成金額の上限は、引き上げる賃金額や人数により異なります。飲食店の場合、POSレジシステムの導入や、経営コンサルティングの契約を行ったときなどが助成の対象です。

助成金額 最大600万円
※助成額は賃金の引き上げ額、引き上げ労働者数等によって決まります
助成上限額 【30円コース】※事業場内最低賃金を30円以上引き上げた場合
30~130万円
【45円コース】※事業場内最低賃金を45円以上引き上げた場合
45~180万円
【60円コース】※事業場内最低賃金を60円以上引き上げた場合
60~300万円
【90円コース】※事業場内最低賃金を60円以上引き上げた場合
90~600万円
助成率 1,000円未満:4/5
1,000円以上:3/4

※その他の枠や詳細については各助成金・補助金の公式サイトを参照

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業や小規模事業者が行う革新的な新製品・サービス開発や、海外需要開拓を行う事業を支援するために適用される補助金です。

対象者 A) 中小企業者
B) 小規模企業者・小規模事業者
C) 特定事業者の一部
D) 特定非営利活動法人
E) 社会福祉法人
補助額 【製品・サービス高付加価値化枠】
従業員5人以下:750万円
6~20人:1,000万円
21~50人:1,500万円
51人以上:2,500万円
【グローバル枠】
従業員規模の区切り無し:100~3,000万円
補助率 中小企業:1/2
小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3

※その他の枠や詳細については各助成金・補助金の公式サイトを参照

地方自治体による飲食店の助成金

これまで紹介したものは、主に国による助成金ですが、他にも多くの地方自治体は、地域経済の活性化や特定の産業(飲食店を含む)の支援のために、独自の補助金・助成金制度を設けています。 例えば、東京都では「カスタマーハラスメント防止対策」に伴い、企業や団体に向けた奨励金・補助金の支給を行う予定です。 各都道府県庁や市区町村のウェブサイト、または地域の商工会議所・商工会に直接問い合わせるなどして、あなたのお店の課題解決や成長役立つ助成金・補助金を探してみてください。

助成金、補助金、給付金以外にも!飲食店向けの支援 

飲食店経営では、助成金や補助金以外にも、日本政策金融公庫の融資や、設備投資を行う事で適用される税制優遇など、様々な支援制度も存在しています。

融資制度(制度融資、保証協会付融資など)
・マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
・新規開業・スタートアップ支援資金
税制優遇制度
・中小企業投資促進税制
・消費税の軽減税率制度

融資制度(制度融資、保証協会付融資など)

・マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

小規模事業者(規模の小さい会社や個人事業主)が、事業をより良くしていくために必要なお金を、低金利・無担保・無保証人で借りられる制度。ただし融資を受けるには、商工会議所や商工会の指導を受けたうえでの推薦が必要。

対象者 商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会、商工会議所等の長の推薦を受けた方
融資上限額 2,000万円
返済期間
(うち据置期間)
10年以内(2年以内)
利率 1.80%

※その他の詳細については公式サイトを参照

・新規開業・スタートアップ支援資金

これから新しく事業を始める方(創業を考えている方)や、事業を始めて間もない方(スタートアップ企業)が、開業や事業の立ち上げに必要な資金を借り入れることができる制度です。 特に女性、若者、シニアの方や、過去に廃業歴があるけども、また創業に再チャレンジしたい方、中小会計を適用して創業する方などは有利な条件で利用できます。

対象者 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
融資上限額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間
(うち据置期間)
設備資金:20年以内(5年以内)
運転資金:10年以内(5年以内)
利率 条件によって変動

※その他の詳細については公式サイトを参照

税制優遇制度

・中小企業投資促進税制

特定の設備投資を行った場合、法人税や所得税の優遇を受けられる制度。厨房機器の購入などが対象になる場合があります。

・消費税の軽減税率制度

持ち帰りや宅配などのテイクアウトは消費税率8%が適用されるため、イートインと区別して会計処理を行うことで、消費者への負担軽減や売上向上に繋がります。

自分たちでもできる!飲食店の経営状況を回復する方法

飲食店向け助成金一覧
 

・徹底した収支管理と経費削減

まず、現状を正確に把握するために収支管理を徹底しましょう。 日々の売上と支出を詳細に記録し、無駄な経費がないかを見直します。 例えば、仕入れコストの見直し、光熱費の節約、人件費の最適化など、削減できる項目がないか検討することで、利益率の改善が期待できます。

 

・QSCの向上で顧客満足度を高める

飲食店の基本であるQSC(Quality, Service, Cleanliness:品質、サービス、清潔さ)の向上も重要です。 これらを見直し、顧客が「また来たい」と思えるような体験を提供することで、リピーターの獲得や口コミによる新規顧客の増加が見込めます。

QSCとは?飲食店経営者が押さえておきたい経営の基本について詳しくはこちら

 

・コンセプトの再構築とニーズに合わせたPR

飲食店業界のトレンドは目まぐるしく変化します。自店のコンセプトが現在のターゲット層のニーズと合致しているか、定期的に見直すことが重要です。 最新の流行を取り入れたメニュー開発やサービス提供を検討し、ターゲット層に響くような適切なPR戦略を実行しましょう。 SNSを活用したり、地域に密着したイベントに参加したりするなど、効果的な方法で自店の魅力を発信することが集客に繋がります。

 

・店舗移転も視野に入れる

もし資金的に余裕があるならば、思い切って店舗の移転を検討するのも一つの手です。 現在の立地が集客に不利なのであれば、ターゲット層が多く集まる場所へ移転することで、売上を大幅に向上させる可能性があります。 ただし、これは大きな投資となるため、事前の綿密な市場調査と計画が不可欠です。

これらの施策を複合的に実行することで、助成金に頼るだけでなく、自力で経営状況を回復させ、持続可能な飲食店経営を目指すことができるでしょう。

助成金を上手に活用し飲食店経営を改善!

飲食店の経営を安定させ、さらに発展させていくためには、助成金の活用が非常に有効。 助成金、補助金、給付金など様々な呼び方がありますが、明確な区分があるわけではありません。大切なのは、ご自身の店舗の状況や今後の計画に合った助成金を見つけ、賢く活用することです。

助成金を活用しても経営が厳しければ「居抜き売却」がおすすめ!

店舗買取りドットコム

助成金、融資などを活用し、経営回復を目指す対策を行っても改善が厳しい場合には、資金が尽きる前に閉店を考えるのもよいでしょう。 閉業もお金がかかりますので、費用を少しでも抑えるために店舗の「居抜き売却」をおすすめします。

居抜き売却とは、飲食店内の設備や内装を残した状態で売却することです。 つまり「看板だけを変えれば、明日からでも別の飲食店を営業できる状態」で店舗を売却します。居抜き売却に興味がある際には、ぜひ「店舗買取り.comへ」にご相談ください。

居抜き店舗.comの姉妹サイト「店舗買取り.com」は、飲食店舗の売却・撤退・閉店をトータルでサポートし、業界初の「売却手数料0円」でオーナー様のお悩みに寄り添いますので、安心してご相談ください。

現在の店舗を高額かつ早期に売却し、店舗移転をお考えのオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。

<お問い合わせ先>
フリーダイヤル|0120-3737-18
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