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都内5地域で開催されたお祭りなどの各イベントについて、効果とその傾向を分析。出店をする際のヒントにも..!

2025.05.01

公益財団法人東京観光財団は、東京都立大学と協力し、株式会社ブログウォッチャーが提供する人流データを利用した観光動態分析ツール「おでかけウォッチャー」を活用した、都内訪問者の行動傾向の分析レポートVol.3を公表。以下プレスリリースより一部抜粋。

都内15のイベントについて、その効果をどのように把握できるかを試行的に分析

TCVB公益財団法人・東京観光財団

目的・概要

TCVBは、都内訪問者(国内在住者)の動向把握を目的とし、令和4年度より「おでかけウォッチャー※」を導入しています。現在、主な観光スポットを含む約1,900か所をモニタリング地点として登録し、都内観光スポットへの訪問者傾向の把握に努めています。その取組の一環として、都立大学都市環境学部観光科学科ツーリズム・モビリティ計画学研究室(清水哲夫教授)と協力し、データから分かる分析結果を一般公開しています。

本レポートでは、「おでかけウォッチャー」から取得したデータを活用し、2024年に都内5地域(中央区、港区、台東区、墨田区、八王子市)で開催された様々な規模のイベントについて、その効果をどのように把握できるかを試行的に分析しました。

イベントの定量的効果を測る4つの視点

お祭り、花火大会等、イベントの定量的効果を測るために、本レポートでは4つの分析視点を用いました。

  1. 日別来訪者数分布・ランキングによる分析
  2. 来訪者の居住地からの距離帯による分析
  3. イベントの周辺スポットへの波及の分析
  4. イベントの時間帯別の来訪者数ピークの分析
イベントの定量的効果を測る4つの視点

近隣集客型?中長距離集客型?見えてきた各イベントの特性とは

分析を試みたのは、べったら市のような地域の伝統的なお祭りから、麻布十番納涼祭、隅田川花火大会まで、様々な規模の都内15のイベントです。各イベントを視点①~④を用いて分析・考察した内容を分類すると【表1】のような結果となりました。

各イベントを視点①~④を用いて分析・考察した内容を分類した表

*1 八王子駅周辺のショッピングエリア
*2 今回の分析内容からは具体的な考察に至っていないもの

全体的な傾向

各イベントについて、訪問者の多くが20km~40kmから来訪しているものについて【近隣集客型】、40km~300km以上から来訪しているものについて【中長距離集客型】と定義しました。

地域で伝統的に実施されているお祭りやイベントについては多くが【近隣集客型】となる傾向にありますが、全国的な知名度や季節的なイベントについては、【中長距離集客型】と分類できる傾向にありました。また、周辺スポットへの影響に関しては、イベント開催時期に、その周辺スポットでも来訪者が増加傾向にあったかどうかを確認しました。

周辺スポットは、イベント会場となっている地域内の比較的近いスポットであるか、または、イベント会場から少し離れたスポットであるかによってもその傾向が異なりました。

特徴的な傾向が見られたイベント

中央区 【つきじ獅子祭】2024年6月

通常の週末と比較し、祭り期間は来訪者が大幅に増加した。大多数の来訪者が40km未満の距離帯からであり【近隣集客型】と言える。

波除神社と近い築地場外市場は、週末は多くの来訪者で賑わっている傾向にあり、祭りの開催に関わらず、築地場外市場の来訪者の一部が神社を訪れている可能性がある。祭り期間中に築地場外市場来訪者を積極的に誘導するような施策は効果を発揮する可能性がある。

港区 【泉岳寺義士祭】2024年12月

なお、周辺スポットについて、高輪ゲートウェイ地区への影響を確認したが、大きな変化は見られなかった。「泉岳寺義士祭」という名称通り、来訪者は泉岳寺駅を利用した可能性も推察される。3日間の祭りの中日である12月14日に義士行列が行われ、当日の来訪者数は群を抜いて多く、また40km~300km以上の距離帯からの来訪者数も多いことが見て取れたため、【中長距離集客型】と考えられる。なお、周辺スポットについて、高輪ゲートウェイ地区への影響を確認したが、大きな変化は見られなかった。「泉岳寺義士祭」という名称通り、来訪者は泉岳寺駅を利用した可能性も推察される。

台東区 【三社祭】2024年5月

祭り期間中の5月18日(土)19日(日)は、分析対象となった浅草エリアで最も多い来訪者数を記録。遠距離からの来訪者も増えているものの、割合としては40km未満の距離帯の来訪者比率が増加していることが伺え、【近距離集客型】と分類した。

周辺スポットである東本願寺と区立千束公園については、顕著に祭り期間中に来訪者が増えており、影響があったと考えられる。なお、上野エリアに位置する下谷神社の来訪者は増えておらず、三社祭をきっかけに上野方面にまで来訪者が流れている様子は見られなかった。

墨田区 【墨堤さくらまつり】2024年3月~4月

隅田公園を中心とした一帯で開催される祭り。3月29日の開花日の翌週末から、来訪者が増加した。また、その来訪者の発地を見ると、40km~300km以上からの来訪者も増加しており、【中長距離集客型】と分類できる。なお、周辺の商業施設等について、通常よりも祭り開催期間の方が、性別に偏りなく幅広い年代の訪問者があることから、お花見が性年代を問わないイベントであることも見て取れる。

八王子市
【高尾山若葉まつり】2024年4月~5月【高尾山もみじまつり】2024年10月~12月

若葉まつり期間中は5月4日が最多来訪者数であった。また、40km以上の距離帯からも来訪者が増加しており【中長距離集客型】と判断できる。ただし、高尾山は通年、平日に比べて週末には来訪者数が増える傾向にあり、40km以上からの来訪者も増える傾向にあるため、祭りを目的に遠方からより多くの来訪者が来ているとは考えにくい。

一方もみじまつりは、11月24日の来訪者数が最多となり、若葉まつり期間中の最多の5月4日の1,5倍程度となった。また、若葉まつり期間と比較して、全体的に40km以上からの来訪者が多く確認でき、高尾山は紅葉シーズンにより遠方から来訪者が来ていることが分かった。

周辺スポットであるTAKAO599MUSEUMへの時間帯別来訪者傾向を確認したところ、若葉まつり・もみじまつり開催期間共に13時~16時に来訪者が多い傾向にあり、登山者が下山後に立ち寄っている可能性が伺える。ただし、この傾向と若葉まつり・もみじまつりとの直接的な関係性は断言できない。

分析結果の地域における活用について

今回は、様々な規模のイベント効果を、4つの視点で分析しました。結果を用いて地域はどのようにイベントを観光の側面から活用できるでしょうか。いくつかの活用ポイント例をご紹介します。

  1. 地域で伝統的な祭りなどは、【近隣集客型】がほとんどであった。この結果を主催者と共有した上で、観光サイドでどのように祭りを活用・活性化できるか考える。
  2. 1.に関連し、伝統的な地域の祭りについて、インバウンド誘客の可能性を検討する。
    今回の分析では、周辺スポットへの影響が見られないケースもあった。より具体的な周辺スポットへの波及効果を測りたい場合、さらに的確なモニタリングスポットがあるかを検討する。
  3. 今回の分析では、周辺スポットへの影響が見られないケースもあった。より具体的な周辺スポットへの波及効果を測りたい場合、さらに的確なモニタリングスポットがあるかを検討する。
  4. 地域への還元も含め人流以外でイベント効果を測る方法を検討する。(施設や店舗の売上への影響等)
  5. 特に遠方からの来訪者が増えるイベントについては、その分地域への波及効果が考えられる。
    地域内に、そのようなイベント(知名度が高い、または著名人が来訪する興行イベント等)がどの程度あるのか確認し、それらをどのように活用し波及効果を広げられるかを考える。
プレスリリース詳細

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