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現状渡しとは?店舗物件の引き渡しで失敗しないための注意点やメリットとデメリット

2026.07.10

飲食店を開業できる現状渡し物件のイメージ
現状渡し物件を利用して、店舗物件を開業される方向けに、店舗物件における現状渡しの意味や、メリットとデメリット、契約書で確認すべき注意点まで網羅的に解説。

飲食や美容などの店舗物件探しでよく目にする「現状渡し(現況渡し)」は、引き渡し時点の状態のまま物件や設備を引き継ぐ取引条件です。しかし「引き渡す側が一切責任を負わない」わけではなく、契約不適合責任や告知義務を知らないと、開業後に多額の修繕費や残置物撤去費用が発生するトラブルにつながります。

本記事では、店舗オーナー様に向けて、店舗物件における現状渡しの意味や、メリットとデメリット、契約書で確認すべき注意点をわかりやすく解説します。

店舗物件における現状渡し(現況渡し)とは

飲食店を開業できる現状渡し物件のイメージ
現状渡し物件を利用して、店舗物件を開業される方向けに、店舗物件における現状渡しの意味や、メリットとデメリット、契約書で確認すべき注意点まで網羅的に解説。

現状渡し(現況渡し)とは、補修やクリーニングなどを行わず、「今ある状態のまま」引き渡すという条件のことです。中古物件の取引や、店舗物件において前テナントの設備を引き継ぐ場面で基本となる考え方です。

居抜きと現状渡しの違いと「造作物」の扱い

「居抜き」と「現状渡し」は混同されやすい言葉ですが、比較すると以下のような明確な違いがあります。

居抜き(状態のこと)
居抜きとは、内装や設備が「使える形で残っている」状態を指します。ただし、多くの場合、設備に対する動作保証はありません。契約上は「残置物(ざんちぶつ)」や「造作物」として扱われるケースが多く、万が一壊れても原則として家主(貸主)に修理の責任はありません。つまり、「使う前提だが、責任はオーナー様(借主)寄りになる」のが一般的です。
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現状渡し(条件のこと)
現状渡しとは、設備が「使えるかどうかは関係なく、不具合や劣化も含めて状態そのまま」で引き渡すという取引条件を指します。設備が使えるかは問わず、家主(貸主)は修繕しない前提となるため、「家主(貸主)は修繕義務を負わない」というのが正確な意味合いとなります。

店舗物件はコンクリート打ちっぱなしの「スケルトン」での賃貸が基本であるため、引き継いだ内装や設備は家主の持ち物ではなく、テナント側の「造作物」として扱われます。 したがって、エアコンやトイレが故障しても家主が無料で直してくれるわけではなく、維持管理や修繕の責任はすべて新しいテナント側(2次側)が負うことになります。

現状渡しに含まれる範囲(設備・不具合・残置物)

「現状」の解釈を巡るトラブルを防ぐため、事前に以下の3点を整理しましょう。

1.設備機器
厨房機器、空調、グリストラップなどが引き渡しの対象に含まれるか、動作保証はあるかを確認します。
2.不具合の扱い
雨漏り、漏水、配管詰まりなどの不具合を誰が修繕するのかを明確にします。
3.残置物
不要な備品(什器)やゴミが残っている場合、誰の負担でいつまでに撤去するのかを取り決めます。

現状渡しを選ぶメリット

新しくお店を始めるオーナー様にとって、現状渡しの物件には大幅な費用削減、早期オープン、価格交渉のようなメリットがあります。

初期費用の大幅な削減
前テナントの設備や内装をそのまま活用できるため、スケルトンから工事をするよりもリノベーション費用や設備投資コストを大幅に抑えられます。
早期のオープンが可能
大掛かりな内装工事を省けるため、契約から短い期間で営業を開始できます。早期に売上を確保したいオーナー様にとって最大の魅力です。
価格交渉の余地
修繕が必要な箇所や残置物がある場合、それを理由に造作譲渡代金などの価格交渉を行いやすくなります。

現状渡しを選ぶデメリット

一方で、現状渡しには想定外の出費を伴うリスク・デメリットも潜んでいます。

引き渡し後の修繕費用
引き渡し後に設備の故障や欠陥(瑕疵)が見つかった場合、原則として自己負担で修理しなければなりません。
高額な撤去費用
不要な残置物や、業態に合わない設備の撤去が必要になった場合、想定外の解体費用や廃棄コストがかかる可能性があります。
開業スケジュールの遅延
保健所や消防署の検査で不備が指摘され、追加工事が必要になると、予定通りに営業を開始できなくなる恐れがあります。

現状渡しでも免責されない責任(契約不適合責任・告知義務)

「現状渡し」と不動産売買契約書などの契約書に記載されていても、法的な責任が完全に消滅するわけではありません。

契約不適合責任とは

2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと変わりました。これは、引き渡された物件や設備が「契約内容に適合していない」場合に、買主(新テナント)が売主(前テナント等)に対して修繕や代金減額を請求できる権利です。

ただし、契約不適合責任は任意規定です。当事者間で「契約不適合責任を免責とする(責任を負わない)」という特約を結んでいた場合は、原則としてその合意が優先されるため、注意深く契約書を確認する必要があります。

売主側の告知義務

物件を手放す側には、雨漏りの履歴や設備の故障、近隣トラブルなど、契約の判断に影響を与える重要な事実を隠さずに伝える「告知義務」があります。これに違反して現状渡しを行った場合、後から損害賠償などを求められる可能性があります。

現状渡しでのトラブルを防ぐための注意点とチェックリスト

店舗物件の現状渡しを安全に進めるためには、不動産会社を交えた事前の確認と書面化が不可欠です。契約前には以下の3つの注意点を必ず確認し、チェックリストとして活用しましょう。

付帯設備表と現状確認書は作成されているか?
引き継ぐ設備の一覧表を作成し、「動作不良の有無」や「修繕の要否」を一つひとつ記録して契約書に添付します。言った・言わないのトラブルを防ぐための重要なポイントです。
費用負担の所在は明確になっているか?
「〇〇の撤去は売主負担」「△△の修繕は買主負担」など、項目別に費用負担の責任者を明記し、必ず特約として契約書に記載します。
専門家によるインスペクション(状況確認)は行ったか?
可能であれば、契約前に内装業者などに建物の状態や設備の劣化具合を確認(インスペクション)してもらうと安心です。目視では分からない設備の不具合などを事前に把握できます。

現状渡し以外の選択肢(居抜き・スケルトン)

飲食店をそのまま開業できる居抜き物件のイメージ
スケルトン物件より居抜き物件の方が適しているケースについて解説

現状渡しという条件に不安を感じる場合は、「居抜き」と「スケルトン」も知っておきましょう。

「居抜き」であれば、前テナントの設備や内装がそのまま使える状態で残されているため、大規模な工事をせずにそのまま店舗を始められるという大きなメリットがあります。一方「スケルトン」は、内装設備が全くない状態からのスタートとなるため、自由なレイアウトが可能ですが、リフォーム費用などの初期コストはかさみます。ご自身の予算や業態に合わせて、最適な物件の状態を見極めてみてください。

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まとめ

現状渡しは、店舗物件の取得費用を抑え、スピーディーに開業するための有効な選択肢です。しかし、契約内容が曖昧なまま引き渡しを受けると、後から大きなトラブルに発展するリスクがあります。

設備や残置物の状態をしっかりと把握し、契約不適合責任の免責条項などに注意しながら、双方が納得できる形で契約を結ぶことが、店舗経営成功の第一歩です。ご自身の身を守るためにも、不明な点は不動産会社や専門家に必ず相談するようにしましょう。



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