居抜き物件とは?バー開業で選ばれる理由
居抜き物件の特徴
居抜き物件とは、前のテナントが使用していたカウンター、厨房設備、空調、照明などの内装・什器がそのまま残された状態で、次の入居者に引き継がれる物件を指します。
バー経営において、グラスの収納スペースや、ムードを演出する照明設計は集客に直結する重要な要素です。これらの設備が整った状態で引き渡されるため、内装工事を最小限に抑え、コンセプトづくりに集中できる点が非常に魅力的です。
居抜き物件のメリット・デメリット
居抜き物件は大きなメリットをもたらしますが、同時に注意すべきデメリットも存在します。バー開業においては特に「費用」と「デザイン」のバランスが重要です。
| 居抜き物件のメリット | 居抜き物件のデメリット | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 内装・設備工事費を大幅に削減できる。 | 造作譲渡費用が発生する。 |
| 開業スピード | 工期が短縮され、早期営業開始が可能。 | 契約や譲渡交渉に時間がかかる場合がある。 |
| デザイン | 既存のバーの雰囲気を活かしつつ、リニューアル可能。 | レイアウト変更の自由度が低い。 |
| 設備リスク | 厨房機器などの設備投資が不要。 | 設備の老朽化や故障リスクがあり、想定外の修繕費が発生する恐れがある。 |
スケルトン物件との費用相場・手間の比較
自由に設計できるスケルトン物件はコンセプトに合わせて好きなようにレイアウトが組める反面、初期費用と工期が大きなネックとなります。バーを開業する場合の具体的な費用相場を把握し、居抜きとの違いを明確にしましょう。
・スケルトン物件の平均工事費:
一般的に1坪あたり30万~60万円が相場とされます。
(例)20坪のバーの場合 → 内装工事費だけで600万~1,200万円程度かかる計算。
・居抜き物件の平均工事費:
造作譲渡料や最低限の改装費を含めても、スケルトン工事費の1/2以下に抑えられるケースが多く、資金計画の負担を大幅に軽減できます。
※上記の工事費の相場は、店舗内装工事業者や店舗不動産仲介業者が公表する一般的な市場データに基づいています。
※居抜き物件は早期開業と予算抑制を最優先するなら有利ですが、新築同様の清潔感や完全にオリジナルのコンセプトを追求する場合は、スケルトンでの設計が必要です。
エリア別に見るバーの特徴
バーを開業する際には、どのエリアに出店するかも重要な要素となります。初期費用の予算やバーのコンセプト、出すお酒の価格帯・ターゲット層によっても出店エリアは大きく変わってきます。 予算やコンセプトに合わないエリアへの出店は大きな損失を招いてしまう事になりかねないので、慎重なリサーチと検討が必要です。
東京都内の主要エリア
東京都内では新宿や渋谷、銀座など、集客が見込めるエリアでバーの需要が高い傾向にあります。
| メリット: ・集客力を期待しやすい。 ・多様なコンセプトが成立しやすい。 |
| デメリット: ・賃料や造作譲渡費用が高止まりしやすい。 ・競合店が密集しているため、独自の特色がマスト。 |
| 重要な注意点: 深夜営業を行う場合は、風俗営業法(風営法)の規制エリアではないか、所轄の警察署や行政書士に事前確認が必須です。 |
郊外・東京近郊エリア
郊外エリアでは、地元の常連客が通いやすいアットホームなバーが好まれる傾向にあります。
| メリット: ・家賃相場が低く、余裕資金を内装やサービス向上に回せる。 ・安定した常連客の集客が期待できる。 |
| デメリット: ・遅い時間帯に来客が途絶えることも多い。 ・営業時間やメニュー構成をローカルのライフスタイルに合わせる工夫が必要。 |
都心部ほど居抜き物件が出回るペースは頻繁ではないため、複数エリアを視野に入れて物件情報を集める姿勢が大切です。特に駅から遠い物件は、集客計画に慎重な判断が求められます。
失敗しないための【内覧時のチェックリスト】
物件を選ぶ際に見落としがちなリスクや、契約条件の確認ポイントを押さえましょう。特にバー特有のインフラ設備は、開業後のトラブルに直結します。
インフラ・設備チェック(バー特有の重要項目)
| チェック項目 | 確認事項 | リスク対策 |
|---|---|---|
| ✓電気容量 | 製氷機、冷蔵庫、照明、エアコンを同時に稼働させるのに十分な契約アンペア数(A)があるか。 | 容量不足は営業停止につながるため、増設が必要な場合は費用を見積もる。 |
| ✓水圧・排水設備 | グラス洗浄機(食洗機)やシンクの水圧は十分か。地下物件の場合、排水ポンプの動作確認と劣化状況を必ずチェックする。 | 排水不良は衛生問題や営業停止のリスクがあるため、不動産会社に修繕義務を明確にする。 |
| ✓既存設備の試運転 | 製氷機、冷蔵庫、エアコン、給湯器は必ず契約前に試運転を行う。 | 故障時の修繕費用負担について、契約書で書面で明確にする。 |
| ✓排気・換気設備 | 軽食提供を行う場合、排気ダクトが設置されているか。たばこの煙や臭いがこもらない換気能力があるか。 | 換気能力不足は顧客満足度を下げ、居心地の悪さにつながるため、必要に応じてダクト工事の費用を見積もる。 |
契約・費用チェック
契約形態と居抜き譲渡費用の確認
賃貸契約に加え、既存設備を譲り受けるための造作譲渡契約が伴うことが多いです。譲渡リストと現物を照合し、費用が内装や機器の状態に見合っているか、適正かを確認しましょう。
賃貸保証金(敷金)の返還条件
退去時の原状回復費用としてどの程度差し引かれる可能性があるか、契約書を細かく確認することが重要です。
修繕費用と責任範囲
契約前に見つかった不具合や、老朽化による設備の修繕費用を誰が負担するのか、不動産会社やオーナーと協議の上で明確にすることが肝要です。
失敗事例から学ぶ【契約前のチェックリスト】
起こりがちなトラブルや失敗を未然に防ぐためにも、基本的なポイントを契約前に押さえておくことが重要です。
よくある失敗事例と対策
| 失敗事例 | 対策 |
|---|---|
| 譲渡設備の不稼働トラブル | 設備は必ず動作確認。責任とリスク分担のため、故障やトラブルが発生した場合の責任の所在、費用負担、損害賠償等を必ず確認する。 |
| 電気やガスなどインフラの容量 | 契約前に専門家(電気工事士など)に相談し、契約アンペア数が想定する営業スタイルに合っているか確認する。増設費用はオーナーと交渉する。 |
| 前テナントのイメージを引きずる集客難 | 居抜きを活かしつつも、照明の色味や装飾品、カウンターの塗装などでコンセプトを明確に一新し、新しい店の打ち出しを徹底する。 |
また、契約前の専門家への相談も大切。分からない点や不利な条項がないか、契約前に弁護士などの専門家にリーガルチェックを依頼すると、より安心です。
このような事例は、居抜き物件専門の不動産コンサルタントや店舗内装業者が共有する一般的なトラブルや、開業者が直面しやすいリスクを基にまとめたものです。特定の店舗や出来事を指すものではありませんが、対策を怠ると実際に発生し得る重要な教訓として、必ず契約前の確認にお役立てください。
居抜き物件を活かした内装・リニューアルのアイデア
低コストで効果を最大化するリニューアル術
居抜き物件は、既存の雰囲気をうまく取り入れることで、コストを抑えながら独自の世界観を演出できます。
照明の工夫
照明の色味(暖色系・寒色系)や強弱を工夫するだけで、空間の雰囲気は一変します。バーでは、カウンター上のスポット照明や間接照明の追加が、ムーディーな空間演出に非常に効果的です。
ペイント・壁紙の活用
壁や天井の一部を大胆な配色で塗り替えたり、アクセントウォールとして壁紙を貼り替えたりするだけでも、レトロ感と新しさが同居した独創的な空間を作り出すことができます。
家具・装飾品の統一
グラス、カトラリー、カウンター上の小物などをコンセプトに合わせて統一することで、細部にまでこだわりが伝わる上質な空間を演出できます。
コンセプトづくりと演出の工夫
バーでは店内の照明やBGM、家具の配置などを含めたトータルの演出が求められます。特に居抜き物件では、既存のカウンターや客席数という制約を逆手に取り、お客様と直接コミュニケーションを取りやすいバーならではの魅力を強化することが成功のカギとなります。既存のレイアウトを活かしつつ、オリジナリティを追求したコンセプト作りが、顧客の心を掴みます。
【まとめ】理想のバー居抜き物件を見つけて開業を成功させよう
バーの居抜き物件には、初期コストを抑えながら開業できる魅力と、既存設備を活かした独自の演出が可能になる大きな利点があります。
成功のためには、以下の3つの重要ステップを怠らないことが不可欠です。
- 1.徹底的な事前準備と資金計画
バーに特化した費用相場を理解し、余裕を持った資金計画を立てる。 - 2.内覧時の専門家チェック
水回り、電気容量、残置物の状態をチェックリストに基づいて入念に確認する。 - 3.契約内容の明確化
造作譲渡の範囲、設備保証、修繕負担を契約書でクリアにする。
活用できる不動産サイトや仲介業者を上手に使い、こまめに情報収集を行いましょう。この記事で紹介したポイントをぜひ活用し、長く愛される理想のバーを運営してください。
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