大阪の銀座は「北新地」
東京「銀座」は、大阪で言うと「北新地」です。高級寿司や割烹、一流クラブが並び、接待やエリート層が集う大人の夜の街です。
それに加え、銀座は華やかで高級な街として海外客にも人気が高く、世界的な観光地としての顔も持ちます。北新地の高級飲食カルチャーに、観光地的側面を加えたイメージが銀座です。
そのため、銀座で飲食店を開業する際は、企業の接待需要を掴みつつ、インバウンドの富裕層も満足させるクオリティが求められます。家賃相場は国内最高峰ですが、本物志向の顧客へ向けて、客との会話を楽しみながら目の前で調理する「カウンター割烹」や、出汁の文化を活かした関西風すき焼き、高級和牛鉄板焼きなど、高単価でも勝負できるでしょう。
大阪の有楽町は「梅田」
東京「有楽町」は、大阪で言うと「梅田」です。ルミネや阪急メンズ東京といった大型商業施設が集まる洗練されたエリアと、その足元に広がる赤ちょうちんが灯る高架下の飲み屋街が共存しています。この「上はお洒落、下はディープ」な二面性のある構造は、梅田の阪急百貨店周辺と新梅田食道街の関係性にそっくりです。
そのため、有楽町で飲食店を開業する際は、休日の買い物客から平日夜のビジネスパーソンまで、幅広い層をターゲットにできます。高架下付近であれば、立ち飲みに加えて、関西風の透き通った出汁を使った「おでん」やシメの「かすうどん」など大阪の要素を取り入れたはしご酒業態が刺さります。一方、商業施設周辺では洗練されたカフェやバルが人気です。ただし西日本最大のターミナルである梅田とは規模感が異なり、有楽町は銀座・丸の内の隣接エリアです。全方位の集客を期待するのではなく、休日の買い物客や平日のビジネス層にターゲットが絞られる点に注意しましょう。
大阪の原宿は「堀江」
東京「原宿」は、大阪で言うと「堀江」です。どちらもおしゃれで、カフェが多く、セレクトショップが集まる街です。特に原宿には裏原宿やキャットストリート周辺に、洗練されたアパレルの路面店が立ち並び、その合間にトレンド最先端のコーヒースタンドやオープンテラスのカフェが点在しています。大阪の人が休日にオレンジストリート周辺で服を見ながらカフェで一休みするような、堀江での過ごし方や客層が原宿の空気感とピタリと重なります。
そのため、原宿で飲食店を開業する際は、感度の高い若者やトレンドに敏感な層をターゲットにするのが効果的です。ショッピングの合間に立ち寄りやすい写真映えする最新スイーツ店のほか、洗練されたロースタリーカフェや、アパレルと融合したスタイリッシュなダイナーといった業態が人気を集めるでしょう。
大阪の渋谷は「アメリカ村・心斎橋」
東京「渋谷」は、大阪で言うと「アメリカ村・心斎橋」です。若者文化とストリートカルチャーのど真ん中であり、クラブやライブハウス、最新のスイーツ店、ファストファッションが入り乱れています。渋谷の、常にものすごい人混みと熱気で溢れているカオスな空気が、アメ村周辺の雰囲気にそっくりです。
そのため、渋谷で飲食店を開業する際は、流行に敏感な若者や国内外の観光客がターゲットになります。食べ歩きグルメとしてアメ村名物の「進化系たこ焼き」を打ち出したり、夜の活気を活かして「お好み焼き・鉄板焼き×ネオ大衆酒場」を展開したりするなど、大阪の粉もん文化にエンタメ性とトレンド感を掛け合わせた業態などが人気になるでしょう。ただし、渋谷はIT大手が集積するビジネス街の顔も持つため、「平日の高単価ビジネスランチ」や「ITワーカーの飲み会需要」という大きなパイも意識して業態を考えるのが成功に繋がります。
大阪の上野は「天王寺」
東京「上野」は、大阪で言うと「天王寺」です。どちらも巨大なターミナル駅であり、すぐそばに大きな公園と動物園(上野恩賜公園・上野動物園=天王寺公園・天王寺動物園)があります。さらにその足元には、アメ横と阿倍野の裏路地やジャンジャン横丁のように、ディープで安い飲み屋街が広がっている街の構造がそっくりです。
そのため、上野で飲食店を開業する際は、休日に訪れる家族連れや観光客から、昼飲みを楽しむ層まで幅広くターゲットにできます。路地裏エリアであれば、天王寺・阿倍野の「ホルモン焼き」や、牛すじを白味噌で煮込んだ「どて焼き」を看板メニューにした大衆酒場が良いでしょう。一方、公園周辺では散策ついでに立ち寄れる手軽な食べ歩きグルメが人気を集めます。
大阪の浅草は「新世界」
東京「浅草」は、大阪で言うと「新世界」です。どちらも雷門や東京スカイツリー、通天閣という象徴的なランドマークを持つ観光地です。同時に、浅草のホッピー通りは新世界のジャンジャン横丁周辺のように、昼間から外の席で酒を飲むおじちゃんや若者で溢れかえる「下町の昼飲み街」である点が似ています。
そのため、浅草で飲食店を開業する際は、国内外の観光客から昼飲みを楽しむ層まで幅広くターゲットにできます。路地裏のホッピー通り周辺であれば、定番の煮込みに対抗する形で、新世界名物の「串カツ」や「どて焼き」を前面に出すなど、大阪色を武器にした活気ある大衆酒場が強力なフックになります。ただし、浅草は客単価や家賃相場が高騰しているため、インバウンド富裕層も意識した価格設定と、それに見合う高付加価値なサービス展開も必要でしょう。
大阪の新宿三丁目は「茶屋町」
東京「新宿三丁目」は、大阪で言うと「茶屋町」です。どちらも街道沿いの休憩所がルーツという歴史を持ち、伊勢丹と阪急百貨店という圧倒的なブランド力を持つ百貨店の周辺に、感度の高い路面店やエンタメ施設が集まる街です。ただ、若者が多くクリーンな茶屋町に対し、新宿三丁目は経済的にゆとりのある大人が集まり、夜はディープな飲み屋街へと顔を変える違いがあります。
そのため、新宿三丁目で飲食店を開業する際は、買い物客からハシゴ酒を楽しむ大人まで幅広い層がターゲットになります。大通り周辺では洗練されたビストロが人気を集め、路地裏では「高級お好み焼き・鉄板焼き×自然派ワインのペアリング」のように、大阪の粉もんを大人向けにアップデートしたバル業態などが需要を掴むでしょう。ただ、隣接する二丁目やゴールデン街の影響もあり、茶屋町的お洒落さだけでなく、深夜需要をいかに取り込むかも重要になります。
大阪の下北沢は「中崎町」
東京「下北沢」は、大阪で言うと「中崎町」です。古着やサブカルチャー、こだわりの個人店が集まるゆるい雰囲気が、街全体を通してシンクロしています。下北沢は、細い路地に個性的な古着屋やレコード店、劇場などがひしめき合うサブカルチャーの聖地で、中崎町の古い長屋を改装したお店を巡るような、ノスタルジックで肩の力が抜けた空気感が下北沢でも味わえます。
そのため、下北沢で飲食店を開業する際は、大型チェーン店にはない個性を求める若者やカルチャー好きの層がターゲットです。古い建物の趣を活かしたレトロな喫茶店のほか、大阪発祥のカルチャーである「大阪スパイスカレー」の専門店や、独自の世界観を持った個人経営のビストロといった、街のゆるい空気に馴染む業態が人気になります。
大阪の新大久保は「鶴橋」
東京「新大久保」は、大阪で言うと「鶴橋」です。どちらも韓国料理店や焼肉店、K-POP関連ショップが集結する、東西を代表するコリアンタウンです。駅に降り立った瞬間から漂う焼肉の香ばしい匂いや、キムチの量り売りが並ぶ本場さながらの市場の風景はまさに鶴橋そのもの。また、新大久保は新宿から徒歩圏内のため、わざわざ本格的な韓国料理や焼肉を目当てに訪れる層がいるのも特徴です。
そのため、新大久保で開業する際は、トレンドを追う若者に向けた最新の韓国スイーツ店や韓国風居酒屋はもちろん、純粋に食事を楽しむ層に向けて、鶴橋が持つ昔ながらの「独自の焼肉ダレ文化」や鮮度抜群の「ホルモン焼き」など、ディープな焼肉特化型の業態を展開すると深く刺さるでしょう。
大阪の汐留は「OBP(大阪ビジネスパーク)」
東京「汐留」は、大阪で言うと「OBP(大阪ビジネスパーク)」です。どちらも大規模な再開発によって生まれたエリアで、近代的な高層オフィスビルや外資系高級ホテルが立ち並んでいます。少し人工的で無機質な都市空間の中で、スーツ姿のビジネスパーソンが行き交う「計画都市」特有の空気が重なります。
そのため、汐留で飲食店を開業する際は、周辺で働くオフィスワーカーやホテルに滞在する国内外のゲストをターゲットにするのが効果的です。平日の需要を掴むため、提供スピードが早く出汁の文化を感じられる「関西風うどん」などのランチ業態のほか、夜は接待向けの「肉割烹」や、高層階の夜景を楽しめるスタイリッシュなダイニングバーといった業態に需要があります。
まとめ
大阪と東京では文化や商習慣こそ異なりますが、街が持つ「熱量」や「人の流れ」には共通点があります。「銀座=北新地」といった対比は、東京という巨大なマーケットを直感的に理解するための指標となるはずです。
東京進出において最大の武器となるのは、東京のスタイルに無理に合わせることではなく、「大阪で培った独自の飲食カルチャーと現場力」です。出汁の奥深さ、粉もんのエンタメ性、距離を縮める接客力や熱量は、競合がひしめく東京の街でも、人の心を動かし、他店との強力な差別化要因になります。
ただし、街の構造が似ていても、家賃相場やターゲット層の細かな金銭感覚、利用動機には東京特有の違いが存在します。今回ご紹介した「大阪に似ている街」をヒントに、まずは候補となるエリアへ実際に足を運び、その街の「空気感」をご自身で確かめてみてください。
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